1. 「おい、こいつの脚が吹っ飛んじまったぞ!」と、兵士は装甲車の後ろに逃げ込みながら叫ぶ。さらに二人の兵士が彼の背後にかがみこみ、血だらけの脚の残骸を引きずり寄せた。
     武装勢力はじっと待っていた。彼らは、たくさんの兵士が集まるのを待ちつづけた。できるだけ多くの兵士を殺すために。近くまで行くと、私は店の窓に背中を押しつけた。広げた手のひらに、振動が伝わってくる。銃弾が四方八方から飛んできていたが、ふと見上げると、地元の人々が日常の生活にいそしんでいるのが見えた。女性が窓からシーツとTシャツなどの洗濯物を干している。アイスクリーム店ではソフトクリームを売っていた。
     銃撃を避けるために、私はビデオ店に滑り込んだ。そこにはイラクの青年たちがたくさんいた。テニス・シャツを着て、レンタルするビデオの話をしている。彼らが私に驚いたので、ふたたび通りに戻った。そのとき、装甲車のハッチから顔を出した米兵が振り返った。私に気づくと、下がっていろというように腕を振った。私は彼の近くへ移動し、その間、彼の撃つ砲撃が私の頭上を飛んでいった。「早く後ろに隠れろ」と兵士が絶叫する。私はその場で前へも後ろへも動けなくなり、立ち止まってしまった。兵士はすでに戦闘に戻っていた。
    — 『そして戦争は終わらない 「テロとの戦い」の現場から』(デクスター・フィルキンス/日本放送出版協会、2009)