「dog ear(犬の耳)」とは、本を読んでいるときに気になるところがあったら、ページの端をちょっと折って、印をつけること。
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ソームズは脳に損傷を受けた別の患者グループに出会って、脳幹だけが夢をつくりだしているのではないという確信をさらに強めた。その患者グループとは、目がさめているときにも夢を見つづける人たちである。この人たちは、ホブソンが夢の形成に重要な役割を果たしていると考えた前脳基底部の特定の細胞群に損傷を受けていた。(中略)この部位やそれと密接な関連がある脳の構造に損傷を受けると、睡眠中に見る夢は異常なまでに鮮明になり、夢を見る回数も増え、さらには覚醒時の体験と夢との区別がむずかしくなる。(中略)普通は起きているときにはチェック機能が働き、現実と妄想を区別できるが、前脳基底核に損傷を受けた人は区別できない。
(中略)
もう一人、夫と死別した四四歳の女性で、動脈瘤で前脳基底核に損傷を受けた人がいた。この人も鮮明な夢を見るようになっただけでなく、昼間「思ったことが現実になる」体験をするようになった。ある朝、ベッドに横たわってなくなった夫のことを考えていると、突然夫が現れた。二人はしばらく話をし、夫は彼女が入浴するのを手伝ってくれた。それからはっと気づくと、自分はまだベッドにいて、部屋に一人きりだったという。ただの幻影だったとはどうしても信じられないと、この女性は訴えた。そのとき自分は眠っていなかったし、夢を見ていたわけではない。似たような白昼夢の体験をしたときもそうだったと、彼女は言った。「ただの幻ではないんです。本当に起きたとしか思えません。それくらい生々しかった。何が現実なんだか、もうわからなくなりました」